一般

輪違屋糸里 ★★★

浅田次郎 文藝春秋 ; ISBN:4163229507 ; 上巻 ISBN:4163229604 ; 下巻(2004/05/27)芹沢鴨小説。この芹沢の不器用さは、かなり格好いい。ままならない世界を正直に渡る姿。浅田版土方歳三は、庶民臭くて、なるほどな、と。

夜空のむこう ★★★☆

香納諒一 集英社 ; ISBN:408774695X ; (2004/05)30過ぎの苦い青春群像劇。登場人物一人一人のキャラクターがしっかり立っていて、すんなり読み終えた。面白い。

宗教が往く ★★★☆

松尾スズキ マガジンハウス ; ISBN:4838713746 ; (2004/03/30) 独特の世界観。切羽詰った冗談だけで溢れた世界。でも、根が真面目なのかラストがやけに照れくさい。

ブラフマンの埋葬 ★★★

小川洋子 講談社 ; ISBN:4062123428 ; (2004/04/13)

スイートリトルライズ ★★★☆

江國香織 幻冬舎 ; ISBN:4344004884 ; (2004/03)

語り女たち ★★☆

北村薫 新潮社 ; ISBN:4104066052 ; (2004/04/15)

下山事件 ★★☆

森達也 新潮社 ; ISBN:4104662011 ; (2004/02/18)下山事件そのものに関しては、やはり昔の事件としか思えないが、後半、著者の挫折感がビシビシと伝わってくるところが、妙に面白かった。どうしようもないというか、想像だにしない壁に何も出来ず、ただ圧倒…

卵の緒 ★★★

瀬尾まいこ マガジンハウス ; ISBN:4838713886 ; (2002/11) 優しい話だ。収録されている作品は二編とも愛する家族がいなくなる物語。しかし、登場人物達の視線は、残されたというよりも残ってやったという感じで、健気に人生に向き合うのではなく、いっそ賢…

村田エフェンディ滞土録 ★★★☆

梨木香歩 角川書店 ; ISBN:4048735136 ; (2004/04/27)村田君の譲れない部分が好きだ。矜持と言えば格好はつくが、ただ単に負けず嫌いなだけ。でもそこがいい。何もかも受け入れては目的を見失う。ただ拒絶するだけでは手段が見つからない。そんな実直な青年…

猫舌男爵 ★★★☆

皆川博子 講談社 ; ISBN:4062123274 ; (2004/03)表題作の遊び心あふれた話は好きだ。皮肉なテイストを軽快に纏め上げていて、かなり笑える。作中に登場する日下三蔵も千街晶之も笑って了解したんだろう。ラストの段落が実に気持ちいい。「睡蓮」も凝った構成…

猛スピードで母は ★★★☆

長嶋有 文芸春秋 ; ISBN:4163206507 ; (2002/02)上とは一転して脱力小説。脱力加減が僕の好み。寄り添うわけでもなく、引っ張るわけでもない、ただそこにいるという感覚が気持ちいいのはよくわかる。「サイドカーに犬」の主人公は飼われる感覚というが、庇護…

シンセミア ★★★☆

阿部和重 朝日新聞社 ; ISBN:402257870X ; ISBN:4022578718 ;(2003/10/17)これは予想以上に面白かった。全体的に安っぽい感じがいいね。ロリコン警官だとか、キッチンジャンキーとか、UFO教とか。別冊宝島がネタにするようなもので埋め尽くしている。この…

黄金旅風 ★★★

飯嶋和一 小学館 ; ISBN:4093861323 ; (2004/03)読み応えはあるし、この作者らしい丹念な取材は驚異的なほど。歴史とは人が作り出していくのだという事が、実感として沸いてくる、そんな作品。ただ、主人公である平左衛門の魅力がほかの登場人物たちに取って…

図書館の神様 ★★★☆

瀬尾まいこ マガジンハウス ; ISBN:4838714467 ; (2003/12/18)ほっこりする物語。どうも最近はこういう感じの暖かい話に弱い。癒されたいのだろうか。こっちのことは置いといても癒されたいと感じている人にはオススメの本。クラブの後輩を間接的に自殺させ…

私の庭 浅草篇 ★★★☆

花村萬月 光文社 ; ISBN:4334924263 ; (2004/03/23) 時代劇が続くなぁ、たまたまだけど。といっても、花村萬月。幕末だろうが現代だろうが、書きたいことは変わらない。否応なく翻弄されていく時代と刀の存在意義が曖昧になっていく時代が、書きたいテーマと…

富士山大噴火 ★★★

鯨統一郎 講談社 ; ISBN:4062122804 ; (2004/03)パニック小説としては水準以上だと思う。災害をテーマにした小説になると政治や社会情勢のリアリティに筆が割かれるが、本書はどうしようもない状況でのそれぞれの登場人物達の思いに目が向けられていて、鳥瞰…

悪魔を憐れむ歌 ★★★★

蓮見圭一 幻冬舎 ; ISBN:434400440X ; (2003/12) 嫌な話だ。特に実際にあった事件なんで、不快感も倍。しかし共犯者からの視点で連続殺人者を語るという筋立ては正直楽しんだ。オリジナルの志摩永幸作「愛犬家殺人事件」は読んでいないが、この作品でも充分…

トリップ ★★★☆

角田光代 光文社 ; ISBN:4334924255 ; (2004/02/20) 不安と退屈とささやかな希望が続いていく日常を、登場人物をずらしながら描くオムニバス小説。日常といってもかなりハードな環境にいたりする(いじめにあっている花屋の小学生とか)けど、悲愴にならない…

残虐記 ★★★☆

桐野夏生 新潮社 ; ISBN:4104667013 ; (2004/02/27)本当に嫌な世界を選ぶ作家だ。普通に読めば少女時代に監禁された経験を客観的に書いた手記になるのだろう。嫌なのは、作家が書いた手記であるところだ。作品中、手記以外でわかる事実は作家が監禁されたこ…

ジャヌ・ダルク、またはロメ ★★★☆

佐藤賢一 講談社 ; ISBN:4062122561 ; (2004/02/26)

1ポンドの悲しみ ★★☆

石田衣良 集英社 ; ISBN:4087746895 ; (2004/03/06)

All Small Things ★★★★

角田光代 講談社 ; ISBN:4062122642 ; (2004/02)

黄昏の百合の骨 ★★★

恩田陸 講談社 ; ISBN:4062123320 ; (2004/03)

四季 冬 ★★★

森博嗣 講談社 ; ISBN:4061823639 ; (2004/03/06)

ハゴロモ ★★★☆

よしもとばなな 新潮社 ; ISBN:4103834048 ; (2003/01/20)

豆腐小僧双六道中 ふりだし ★★★★

京極夏彦 講談社 ; ISBN:4062122146 ; (2003/12/20)

見えないドアと鶴の空 ★★☆

白石一文 光文社 ; ISBN:4334924239 ; (2004/02/19)初めは、男女の三角関係をこの人らしく独白形式で、エピソードを積み上げていくのかなと思っていたんだけど、100ページを越えたあたりから急展開、そちらに行きますか!まあ「僕のなかの壊れていない部分」…

黒冷水 ★★★☆

羽田圭介 河出書房新社 ; ISBN:4309015891 ; (2003/11/22)兄弟喧嘩小説。あの手この手で喧嘩するんだけど、とにかく陰湿。個人的にはブラックユーモアとして楽しんだけど、真面目に読み込むと逃げ場がなくてしんどい小説だと思う。ラストのひねりも怖いけど…

家守綺譚 ★★★★

梨木香歩 新潮社 ; ISBN:4104299030 ; (2004/01)床の間の山水画から亡き親友が現れたり、庭のサルスベリに惚れられたり、河童が古道具屋で売られたり、小鬼とふきのとうを探したりする小説家の日常、そう、あくまでも日常なんだよ。荒唐無稽なのに、どこか懐…

青い翅の夜 王国記Ⅳ ★★★

花村萬月 文藝春秋 ; ISBN:4163225609 ; (2004/01/30)主人公・朧がとうとうヴィジョンを獲得した。ヴィジョンは言葉で説明することが出来ない直截的な感覚、らしい。らしいと言うのは見なきゃわからないからだ。朧は、ヴィジョンを月の光が差し込む長方形の…