黄金旅風 ★★★

飯嶋和一 小学館 ; ISBN:4093861323 ; (2004/03)

読み応えはあるし、この作者らしい丹念な取材は驚異的なほど。歴史とは人が作り出していくのだという事が、実感として沸いてくる、そんな作品。ただ、主人公である平左衛門の魅力がほかの登場人物たちに取って代わられるところがあって、もっと活躍しろよとやきもきした。群像劇の手法で書かれているので仕方がないのかもしれないけれど、初めから登場人物の一人にほれ込んで感情移入していたので、いなくなってしまう後半がダレてしまった。それで星三つになったけど、あくまでもそれだけの理由。歴史小説好きで、男の生き様好きなら、楽しめるはず。それに外交官を主人公とした新手の国際政治小説という読み方もできるので、冒険小説好きにもオススメ。