卵の緒 ★★★

瀬尾まいこ マガジンハウス ; ISBN:4838713886 ; (2002/11)

優しい話だ。収録されている作品は二編とも愛する家族がいなくなる物語。しかし、登場人物達の視線は、残されたというよりも残ってやったという感じで、健気に人生に向き合うのではなく、いっそ賢しらに渡りきってやるという思いが感じられて、読んでいて気持ちがよかった。家族の絆をここまであっけらかんと前向きに描かれると、照れるよりもさきに素直に頷いてしまった。特別な存在はあるんだな、と。