高く遠く空へ歌ううた ★★★

小路幸也 講談社 ; ISBN:4062123533 ; (2004/04)

言葉のセンスも、あざといほどの詩情もどちらかと言えば好きな方。義眼だからあだ名がギーガンっていうのはいい感じ。でも読んでるうちに落ち着かなくなったのは、アイテムとして出てくる現実(「八時だよ、全員集合!」とかね)のせいか?作者の原風景を御伽噺のように描写しているのだし、現実を無理にオーバーラップさせる必要はないと思うんだけど、どうしてもいろいろと想像する。この手の比喩の上に比喩を重ねた話は深読みをすれば際限がないので、例えば最後に出てくる「解す者」にしても、それはそういう者だとは割り切れないんだよね(前作の登場人物だという事とは別にね)。深読みをしなければいいだけなんだけど、解決がある物語だからなぁ。裏設定みたいなものがちらちらと頭の片隅を横切ったりして、少し消化不良気味。