ソウルドロップの幽体研究 ★★☆

上遠野浩平　祥伝社 ; ISBN:4396207859 ; (2004/08)

「生命と同等の価値のある物を盗む」怪盗−ペイパーカット。それは必然的に盗む者の命も消してしまう。実にこの作家らしい作品です。ただ、シリーズ１作目だからか、全ての登場人物のスタンスが微妙で、すんなり物語に入り込めませんでした。主人公？のペイパーカットにしても、保険調査員の二人にしても、目的はぼやかされているから、素直に次巻を待てということなんでしょうね。物語の軸になる事件自体は、予想以上に論理的に解決されていて、素直に感心しました。綺麗な逆説だと思います。それにしてもこの作者、あちこちにシリーズ物を書いているけど、どうケリをつけるのでしょうか。ある意味それが一番楽しみだったりします。