硝子のハンマー ★★★★

貴志祐介 角川書店 ; ISBN:4048735292 ; (2004/04/21)

やたらと評判が悪かったんで、おずおずと読み出したんだけど、なんだ面白いじゃん。一つの密室を角度を変えながらこんなに生真面目に謎解きをしている作品はなかなかないよ。作者の密室への素直な憧憬が見えて思わずにやついてしまう。中学時代に黄金期の本格をむさぼり読んだ時の事を思い出した。犯人当てでも動機当てでもなく、愚直なまでに密室トリックだけを当てろ、と読者に挑発している。その観点から読むと2部構成の必然性も、倒叙の形でヒントを小出しにする毛色の変った読者への挑戦状とも読み取れなくはない。僕個人としてはパズルに徹して、普通に読者への挑戦状を入れてほしかったけどね。探偵役とワトソン役のキャラがキャラだけに(^^ゞ