ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 ★★★★☆

監督・ピーター・ジャクソン 出演・イライジャ・ウッド イアン・マッケラン ヴィゴ・モーテンセン ショーン・アスティン オーランド・ブルーム ジョン・リス=デイヴィス リヴ・タイラー

圧巻の3時間半!終わったというか、落ち着いたというか(^^ゞ。いやぁ、面白かったよ。原作がいいとしても、ここまで見せてもらえるとは思わなかった。ミナス・ティリスの壮大さ。戦闘シーンの迫力。豊潤な物語。本当に良く出来ている。完結編にふさわしい内容だった。サム寄りな立場なぼくとしては、道中辛い目も多々あったけど、サムの物語としても堪能できたので十分満足。ストーリー面で、おお!と思ったのは、クライマックスの火山でフロドが指輪を火口に投げ込もうとするシーン。原作読んでなかったので、そう持ってくるかと、思わず見入ってしまった。この物語、本当に登場人物が成長しない(あえて、言い切るよ)。旅の過程でさまざまな経験をするけども、今ある自分以上の力を発揮することはない。ガンダルフは灰から白になるし、アラゴルンは王の自覚に目覚めるが、それは決意の表れで元からあったモノ。何が言いたいかというと、この物語、奇跡で運命を乗り越えないんだよ。個人のできることだけで、困難な運命にただ立ち向かう。だからこその火口シーン。指輪を巡るフロドとサム、そしてスメアゴルの関係性が、物語と融合して、全篇を通したテーマに昇華している。誰でも持っている心の中の弱い部分とどう向き合うか。フロドの葛藤、サムの信頼、スメアゴルの懐疑、アラゴルンの決意、エオウィンの自立、ピピンとメリーの友情、デネソールの諦念。登場人物たちが良い部分も悪い部分も隈なく見せてくれた。奇跡が起きないのは、すでに奇跡が起きている証明なのかもしれない。