希望 ★★★

永井するみ 文藝春秋 ; ISBN:4163224505 ; (2003/12/10)

14歳モノ(そんなジャンルあるのか知らないけど)としては、異色の出来。二転三転させる展開といい、硬質な内容といい、よく出来た犯罪小説になっている。殺人を犯した14歳の少年が美形のため、それを前提にした方法で世間へ晒されていくところがよく考えられている。ただ、全体としては悪くないんだけど、もう一歩踏み込んで来ないのは、心の闇という化け物を誰でも持つパンドラの匣という形で終わらせてしまったからだろう。これはこれでありだとは思うんだけど、できれば作家の力で解体して欲しかった。